日本にも本格的なクルーズ・ブームがやって来ています。
海外の大きな豪華客船が日本にもたくさん来る時代。
そんなクルーズ旅を経験した人も多いでしょう。
でも、僕は「にっぽん丸」が好きです。
この船のポスピタリティ。
まさに日本の「おもてなし」そのもの。
撮影を担当させていただいているご縁があり、
何度も乗船していますが、
いつも、その完璧なサービスに感心しています。
今週末、また、その「にっぽん丸」に乗船します。
目的地は「屋久島」。
今回は撮影ではなく、クルーズのゲストとして呼ばれいます。
屋久島に行くまでは、
「旅の達人」!として屋久島のみどころ、楽しみ方を
写真でご案内します。
撮影で屋久島に行く時は飛行機ですが、
今回のような、ゆったりとした船旅は心が洗われます。
一度は「にっぽん丸」。
おススメです。
気温−10℃に風速20mの風が容赦なく吹き付ける。
雲がビュンビュン飛んで行く。
風が25mを越えるとロープウェイは止まってしまう。
▲ロープウェイの終点の標高は1324m。
さほど高くはないのに、この風景。
映画のセットみたいでしょ?
▲RX-1にも電子ビューファインダーを付けて片手で撮りまくる。
ファインダーの中の空が完全にブルーに抜けたのは、
9日間のロケの中で、わずか3分。
朝8時45分の始発で登って、最終便の午後4時まで頂上のロープウェーの駅でひたすら晴れるのを待つ。
▲ロープウェイの乗り場のガラスにできた氷の結晶をマクロ200ミリ(ミノルタ)で撮った。
α99 MACRO 200mm F4 SS:1/750 F:4 ISO:200
この撮影で一番気を付けたのは、冷えたカメラの扱い。
そのまま室内に持ち込むと結露する。
バックに入れたまま、ゆっくりと室温にならす。
そうしないと、レンズの中まで曇って、後の撮影に支障がでます。
へたをすると苦労して撮った写真データが一瞬で消えてしまいます。
それにしても、あの緊張感。あの感動。今思い出しても心が震えます。
ロープウェイが停まってしまった日は
お宿の酸ケ湯温泉でのんびり。
2013年2月12日撮影
釧路湿原は日本最大の湿原。
その中で「コッタロ湿原」は原始の姿を残している所といわれている。
そのコッタロ湿原で日の出を見るため、展望台に登った。
樹々には樹氷がついている。
朝日にキラキラと輝き、ピンク色の花が咲いたよう。
▲登りつめると眼下に広がる未知の風景。
α99 70-400mm F4-5.6 SS:1/125 F:8 ISO:200
他に誰もいない展望台で雄大な景色を、ひとりじめ!
そして、その朝日にサンピラーが出現。
▲太陽からのびるサンピラー
α99 500mm F4 SS:1/2000 F:8 ISO:200
サンピラーは-20℃以下の極寒期だけに見られる珍しい現象。
太陽柱とも言い太陽の上下に光の帯が現れる。
僕は初体験。
▲駐車場から10分ぐらい。ツルツルに凍りついた急階段。
ここでもモンベルのチェーンスパイクが大活躍!
▲エゾジカの群れがあちらこちらに
α99 70-400mm F4-5.6 SS:1/60 F:6.7 ISO:800
(2013年1月20日撮影)
鳥好きカメラマンの間で「タンチョウを撮りに行く」といえば
「音羽橋」が有名です。
夜明け前から三脚が何十本と並ぶ「カメラマンの聖地」。
日本のみならず、世界中からカメラマンが集まります。
▲三脚が隙間無く並ぶ音羽橋
ここには何度行っても飽きる事はありません。
毎朝違ったシーンに心が躍ります。
今回も三度も行きました。
川岸には霧氷が花のように咲きます。
流れがあって凍る事がないので、
タンチョウ達が夜を過ごすねぐらがここにあります。
▲立ち上る気嵐の隙間から見えるタンチョウの群れ
α99 500mm F4 SS:1/250 F:11 ISO:400
川面から気嵐が立ち上がる。
幽玄な世界。
寒さの厳しい日には−30℃まで下がる事もあるそう。
ちなみにこの日の気温は−20℃ほど。
冬用のブーツにはカイロを入れ、ズボンも4枚重ね。
素手で三脚を持つと手の皮が剥がれそうなほど冷えきり、
自分の吐く息でマフラーも凍る世界。
ここには2本の橋が掛かっていて、
歩道である1本は、朝の時間にはカメラマン専用。
二匹の若い鹿が川を渡って来ました。
奥にはつるの姿が。
「もののけ姫」のワンシーンのように、
立ち止まって僕の方を見てくれました。
▲つがいだろうか、牡鹿と雌鹿が川を渡って林の中に
α99 500mm F4 SS:1/750 F:8 ISO:200
最近のカメラはホントに優秀です。
普通は寒い所での撮影はバッテリーの減りが早い。
すごく減りの早いメーカーもあって、隣のカメラマンは大変でした。
しかし、SONYのα99はバッテリー保ちも良好。
-20℃という世界でもトラブルがなく、
元気に動いてくれます。
ピントリングもスムーズ。
昔は動かなくなるのを防ぐ為にレンズの油を抜いたりしてたのに‥‥。
(2013年1月18日、22日、23日撮影)
僕が憧れる写真家は日本では土門拳。
世界では、アービング・ペンとリチャード・アベドンだ。
アービング・ペンはスチールライフや人物を得意とする。
風景作品は少ないが、その中で日本で撮ったものが1点ある。
「Seascape, Japan」 1964年。
どこで撮ったのだろう。山陰か?三陸か?
ずっと気になっていた。
そしてとうとう見つけてしまった。
伊豆南端の「蓑掛岩」がそれだ。
この時代、舗装された道もなく、大変な思いをしてたどりついたはず。
ひょっとして船で渡ったのだろうか。
▲僕の撮った蓑掛岩、彼岸への入り口か?(南伊豆町大瀬)
▲「Seascape, Japan」 1964年
日本でたくさん撮ったであろう作品の中から選らばれた1点。
「アービン・ペンの全仕事」展カタログ 東京都写真美術館 (1999年)
▲僕のコレクションにあるアービング・ペン
「ピンクの顔の男、ニューギニア」1970年 プラチナプリント
撮影データ
カメラ:ソニーα55
レンズ:16-35mm
シャッタースピード:1/160秒
絞り:F11
ISO感度:100
12月19日7:40撮影
海辺の村にはパパイヤやブーゲンビリアなど、南国の花が咲いているのに、
山頂には雪が降る、というのが屋久島だ。
「ひと月に35日雨が降る」とも言われる。
縄文杉が有名で最も樹齢があり、7000年とも言われているが、
本当はも〜っと古い一本の巨樹がこのどこかにあるらしい。
発表されていないだけ。
なんともロマンのある話だな。
撮影データ
α-55
70-200mm
1/60秒
F11
ISO200
屋久島の西部には海岸部から山頂まで、
自然が手つかずのままに残された奇跡の森が広がる。
世界遺産の意味は屋久杉だけじゃない。
この森があるからこその世界遺産なのだ。
行くとサル、シカに必ず会える森だが、1本の細〜い車道が通っている。
その道をドーンと広げて大型観光バスを通そうという計画があった。
わずかな金儲けのために大切な自然をつぶしてしまう。
世界遺産になってからの話だが、むちゃな話だ。
もちろん、そんな話は中止となったが・・・。
人間て愚かなものなんだ、と思った。
でも良かった!この森が残されて。
▲倒木に育ったオオタニワタリ
撮影データ
ソニーα-55
レンズ:11-18mm
シャッタースピード:1秒
絞り:F11
ISO感度:200
屋久島では樹齢1000年になってはじめて「屋久杉」と呼ばれる。
それより若いのは「小杉」と言われるのだ。
でも森で見るべきものは屋久杉だけではない。
シダや小さな苔の中にも宇宙は宿っている。
足もとの森を覗いてみよう。
▲樹高32m、胸高周囲4.4m、白谷雲水峡にある屋久杉。
「二代大杉」根元が空洞になっている。
撮影データ
α-55
16-35mm
F11
0.7秒
ISO100
彼岸の景色を見て・・・。
月に一度、数日間だけ現れる大きな干潟。
丘の上から見下ろせるのは、日本ではここだけかも?
日の出と干潟のタイミングがピタリと合ったときにだけ撮れる。
でもこんなに美しいシーンを撮れるのは滅多にないという。
彼岸の景色を見てしまったような気持ちになった。
▲夜明け前の刻々と変わる空の色を映し込む。
▲日が昇ったあと、ヒタヒタと金色の波が打ち寄せ、幻のように干潟が消えてゆく。
共通撮影データ
α-55
70-400mm、24-70mm
11月26日
お宿はSEA SHOREがおすすめ。
お宿のPからも撮れるし、撮影ポイントの丘もすぐ近く。
料理も美味しいオシャレなホテル。
電話で問い合わせれば安い「カメラマン・プラン」もあるよ。
▲沖に見えた蜃気楼
400mm使用